イタリア現代古典/タタール人の砂漠
タタール人の砂漠
ディーノ・ブッツァーティ
- タタール人の砂漠 (イタリア叢書)/ディーノ ブッツァーティ
- ¥1,631
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1940年のイタリアの作品。なのに現代サラリーマン向けの作品かと思ってしまいました。
あらすじ
主人公は、将官に任官し、最初の任地バスティアーニ砦に赴くことになりました。
まだ20代の若者であり、多くの希望を持って訪れた砦は、町から遠く離れた僻地であり、敵の訪れる気配も感じられないような場所。
到着当初から任地の変更を求め、上官に「数ヵ月後なら」ということで、砦で任務につくことに。
儀式めいた歩哨の巡回、果てしなく続く砂漠、岩山に屹立する城壁、弛緩しながらも何かを待ちわびる上官と同僚と自分。そういった日常を過ごしていくうちに、砦に魅入られ、数ヶ月が過ぎ、主人公は任地としてバスティアーニ砦にいつづけることになります。
散発的におこる事件。待ちわびる何か。そして磨耗していく時間と自分。
僻地での任務を語りながら飽きさせない小説的技法、しかも抽象度が高いため、今読んでもまったく古いという気がしません。
むしろ思い当たるところ多々、という感じで古典とはこういうものかと思いました。
途中で幻想小説と気づきましたが、とてもリアルに読めます。
薦められなければ読む本ではありませんので、興味があれば是非。
映画もあるようです。
是非砂漠と砦の映像をみたいのですが、日本語字幕版はあるのでしょうか。