かっこいい記録/剣岳<点の記>
剣岳
新田次郎
- 劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))/新田 次郎
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何を今更、という感じですが。
剣岳は、立山信仰もあり、また非常に険しいことから、長らく頂上に人を寄せ付けない山でした。
地図上で空白だった剣山の山頂とその周辺の測量を行うため、明治40年、陸軍参謀本部 陸地測量部 の柴崎芳太郎 が山頂を目指す、という実話を小説化したものです。
軍隊式に降りてくる、山頂制覇の命令。
民間の登山家との山頂争い。
そうはいっても今まで誰も上ったことがないのでルート探索から始まります。
立山信仰では、剣山は針の山とされ、地獄を現し登ってはいけない山となっていて、一部の山周辺の人々からは登山の理解が得られません。
それでも、よい案内人をみつけ、関係者に話を聞いていくうちに、立山周辺の山々を歩きわたる行者から話を聞くことができ、剣岳登山のヒントを与えられ、しかももしかしたらすでに太古の行者に登られているかもしれない、という話を告げられます。
そうして失敗しながらも周辺地域のを調べていくうちに、まさか、という登るべきルートが見え始め・・・。
新田次郎らしく、盛大に盛り上がるクライマックス、というわけではなく淡々と物語りは進んでいくのですが、山男の黙々とした行動は、ぐっとくるものがあり、まず十分楽しめました。
なんだか映画化 の予定もあるらしく、来年2月に公開の予定みたいです。
ちなみに『点の記 』とは地図製作上で必要な三角点を作成する際の記録・日誌のようなものです。
国土地理院で照会できるそうで、うむ、かっこいいですね。