+αが難しい/ラジ&ピース
絲山 秋子
ラジ&ピース
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久々の新作「ラジ&ピース」でしたが、イマイチでした。
主人公の女性はラジオアナウサー。
自分が嫌いで周りの人間も全部嫌い。
マイクの前でしゃべっているときだけ、自分を許せる、そんな女性が群馬のFM局にやってきて、新たな番組を始めます。
なじまないのに親切なスタッフ。
大学時代の元彼への自己嫌悪と恋愛の複雑な思い。
飲み屋で出会った、厚顔だがウマの合う女医。
初めて会うリスナーとの日帰り旅行。
新しい土地で、少しずつ自分の持っていた固さがほぐれていく様子が描かれています。
仕事には生真面目で、でも人にはなじめない、という状況を書くのは相変わらず巧いのですが、ほぐれていく様子がどうにもしっくりきません。
女医とのカーチェイスの場面なんかいいところなんでしょうが、ピンとこなかったですねぇ。
もう1作品「うつくすま ふぐすま」は、偶然の一致で食事することになった女性同士のやりとりと、それとはべつの主人公の男性論。
男はカラダ、やってなんぼ、といういつもの荒っぽい論と、福島出身の女性との会話はテンポもよく楽しめますが、なんせ短篇なのでテンポを楽しんでおしまい、という感じです。
絲山 秋子の特徴は、遠景(過去や想い)と近景(身近な人間関係や出来事)を絡ませながら+αを描く、というところがあると思うのですが、今回はその+αがイマイチでしたね。
絲山 秋子のHP は、生真面目に日記が更新されているのでたまに読みますが、制作過程も知りながらの作品だったので期待していたのですが、残念です。
「北緯14度」とかに期待しましょう。
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