意外に充実の2008年/2008年の本の話 | できれば本に埋もれて眠りたい

意外に充実の2008年/2008年の本の話

2008年の読書を分野別にまとめてみました。


■作家

今まで年末年始に1年間の読書を振り返ると大体「いらん本をずいぶん読んだなぁ」という気持ちになっていたのですが、今年は意外にそんなことにはなりませんでした。その理由はと考えると飯嶋和一、伊坂幸太郎、梨木香歩に出会っていたからなんですね。年間読書の20%近くをこれらの作家で占められれば、それは文句をいうことはなにもありません。


飯嶋和一 雷電本紀 」「神無き月十番目の夜 」「黄金旅風

読み応えのある作家です。歴史全体を書きながらも、個人の思いをしっかり書いていくところがいいですね。個人的には、主人公のある時点での早めの運命の見定めが読みどころです。


伊坂幸太郎砂漠 」「終末のフール 」「フィッシュストーリー 」「チルドレン 」「重力ピエロ 」「魔王 」「アヒルと鴨のコインロッカー 」「グラスホッパー 」「死神の精度

人気作家伊坂幸太郎に、「砂漠」「終末のフール」と個人的ツートップの作品に早い段階で出会えたのが勝因?です。問題意識の選択や表現の仕方にはとても同時代性を感じますね。

梨木香歩 村田エフェンディ滞土録 」「水辺にて 」「春になったら苺を摘みに 」「からくりからくさ 」「沼地のある森を抜けて 」「家守綺譚 」「エンジェルエンジェルエンジェル

今年一番の収穫でした。特に近年のものはエッセイ、小説ともに意欲的にオリジナリティのある作品ばかりで、元来持っている小説技術の上に構築される世界観は、今までにない作家として今後も期待してしまいます。




■名作

ディーノ・ブッツァーティ「タタール人の砂漠」


この本、良かったです。本単体では2008年一番。それこそウン十年前の本なのに今読んでも十分読み応えがあり、せまるものがあります。過去の見知らぬ名作にも良い作品があることを予感させる、良い本でした。




■再読


ティム・オブライエン 「本当の戦争の話をしよう」

高校のときに読んだ本ですが、鮮烈なイメージだけが残っていて、何に感動したかはさっぱり覚えていませんでした。改めて読んで、何に感動したか理解でき、その時には理解できなかったであろうことも分かって、貴重な体験となりました。




■古典
レイモンド・チャンドラー「ロング・グッドバイ」

探偵小説の古典ですね。しかし完成形でもあるのでしょう。いつまでも読んでいたい楽しい本でした。

村上春樹の文体に似ているのは驚きましたね。




■ノンフィクション

松井浩「打撃の神髄 榎本喜八伝

天才打者の話なんですが、Wikiで見つけて興味をもって本があったので読みました。実にノンフィクション的欲求が満たされた本でした。


佐藤優「自壊する帝国」

いやぁ、こんな人いるんだ、と思った本です。能力のある人は考えや行動のスケールが違いますね。



■エッセイ

池上永一「やどかりとペットボトル」



奇妙なエッセイでしたが、池上永一という人の一端が垣間見え、小説の方にも興味がでてきたきっかけとなった本でした。たぶん今後もエッセイなんかは少なそうな気がする感じのエッセイでした。



■範疇外

デイヴィッド・ミッシェル「ナンバー9ドリーム」

海外SF?というまったくの範疇外の重厚な本に挑戦してみたのですが、意外に楽しく読めました。やっぱり面白い本は自分の範疇外でも面白いのだなと再認識。今後も色々なジャンルに挑戦していきたいと思います。



■ひいき


よしもとばなな「サウスポイント」

相変わらずのよしもとばななですが、今年の一本といえばこれでしょう。どんどんわが道を歩いていき、小説技術やテーマのレベルが上がってきていて、やっぱり新作は読みたくなる作家です。


舞城王太郎 ディスコ探偵水曜日 」「熊の場所

年末滑り込みで読んだ本ですが「ディスコ」は圧巻でした。こんなに書き込んで大丈夫、と思えるほど。

であらためて「」を読んでその才能の確かさを確認。ついていくのはしんどい部分もありますが、やっぱり新作が読みたくなる作家です。



■やっぱり読めないもの

カズオ イシグロ「わたしを離さないで」


評判も高い。訳者も絶賛。でも自分には面白くない。そんな本もあるんだというのを再認識した本です。なんか読み方が分からないんですよね。くやしい。その分他の本読んでやる、という感じです。



さて、それから


■■アメブロ

もう、使っていない機能が山盛りで、ここにいてもいいのかと思うぐらいです。

他のブログにある機能が欲しいと思う反面(タグとか)、アメブロにつく機能は方向性が違うんですよね。

今更、という感じですが。

検索とかも一時はマシになったのですが相変わらず使えないですし。

新機能など、使ってよかったものなんかあれば教えてください。

少しは使っていこうと思います。





■■全般と目標

昨年は、日本の最近の小説が多かったですね。もっと海外も増やしていきたいし、ノンフィクションも増やしていきたい。

それから本選びに図書館を3件ほどまわっているのですが、もう、背表紙で読みたくなる本は大体読んでしまいルーチン的探書になりかけているので、積極的に他の方の薦めている本を読んでいきたいと思っています。

それから、本の紹介が基本のブログなのですが、書評以外にもなにかできたらいいな、と思っています。





-皆様-

昨年は相も変わらず個人的な感想を読んでいただき、まことにありがとうございます。

自分の感想を書いているとはいえ、やっぱり読んでもらってのブログです。

もっと面白い、もっと読みやすいブログを書いていきたいと思いますので、本年もよろしくお願いいたします。