逃げる。何から?/ゴールデンスランバー | できれば本に埋もれて眠りたい

逃げる。何から?/ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

伊坂幸太郎


ゴールデンスランバー/伊坂 幸太郎
¥1,680
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近未来の仙台で、首相が暗殺される。

気が付けば暗殺者に仕立て上げられ、警察から逃げる羽目に。

主人公は逃げきれるのか、そして疑いは晴れるのか。


と簡単に書いてしまえばこんな感じの作品ですが、癖も少なく読みやすく、代表作として仕上がっているのではないでしょうか。


変わっている点は、時制が現在だったり20年後だったりと入れ替わっていることですが、これも仕掛けの一部として楽しめます。読んだ後も。


相変わらずの構成要素、「言葉遊び」「破綻した善人キャラ」「悪人」「伏線」なんかも健在で、今までどおり十分に楽しむことができます。


ところで、今回構成要素の一つに「逃避」というものがあることに気が付きました。

権力にはできるだけ関わらない、という意味での「逃避」

もしかしたら直木賞辞退も「逃避」だったのかもしれませんね。


伊坂ファンも伊坂入門者も楽しめる本ですがストーリー展開が一番目立つため、それまで匂っていた体臭のようなものが薄まっているのが残念ですね。

なんていうんでしょう、車のハンドルのアソビとか洋服の着ごごちみたいな、意図していない部分のアキがなくなっているように感じました。「逃避」とそのアキの部分がもっとリンクできると皮膚感覚で伝わるようになったんじゃないかなぁ、と思うのですが、まったく勝手な個人的意見だと思います。でも、面白かったのになにか物足りなかったので。