佐藤雅彦をなめてはいけない/経済ってそういうことだったのか会議 | できれば本に埋もれて眠りたい

佐藤雅彦をなめてはいけない/経済ってそういうことだったのか会議

経済ってそういうことだったのか会議

佐藤雅彦 竹中平蔵


経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)/佐藤 雅彦
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何かで読んだ「経済の難しい話を簡単に説明できるのは竹中平蔵 がいい」というのに影響されて読み始めました。


軽く読めるのかなぁー、と思っていたのですが、佐藤雅彦 が意外と曲者。

「経済学の語源は『共同体のあり方』という部分に興味を持った」という佐藤雅彦の思いで始まったこの対談は、意外に硬派で古典的で本質的な質問が多いです。


で、原則論は分かりやすく応えるのですが、すぐに改革路線に持っていく竹中平蔵。


仕事もできて高給の佐藤雅彦とのQAなので、小泉内閣でいったい何が行われていたか、という原則論理想論を確認するにはもってこいの素材ですね。ニュースやコラムでは分からない基本的なことが分かります。


経済学にとって「政府の最終的な目的は失業をなくすこと」「人間は労働力」とかドライな視点が勉強になりました。あとは「東京アクアライン がゼネコンと橋梁会社と予算を折半するためトンネルと橋になった」とか「大企業の幹部より中小の社長ほうが経済をみている」なんて話も面白かったです。


なんでしょう、半分は大体知っていて、1/4は興味深くて、1/4は偏っている、そんな印象でしょうか。

バランスを取るためには他の評論家の話も聞いたほうがいいでしょう。


しかし、この佐藤雅彦って人、ピタゴラススイッチをつくりながら、髭剃りのジレットの新聞切り抜きを出してきたり(ジレットの筆頭株主のウォーレン・バフェットの「寝る時に世界中でひげが伸びていると想像すると、安眠できる」というコメントの皮膚感覚が面白い)、子供みたいな心と大人の探究心と、隙がない、と改めて感心しました。