究極じゃなくても/ビル・ブライトンの究極のアウトドア体験 | できれば本に埋もれて眠りたい

究極じゃなくても/ビル・ブライトンの究極のアウトドア体験

ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験

A WALK in the WOODS


ビル・ブライソン



できれば本に埋もれて眠りたい-ビルブライソン


アメリカ東部のアパラチア山脈(って中学以来ですね)に沿って南北約3500km、14州に渡るの自然歩道(アパラチアントレイル )を、今までアウトドアとは無縁の筆者が縦断する旅行記です。


なんでこの人がアパラチアントレイルを歩こうかと思ったかは分かりませんが、アメリカ都市文化にたっぷり浸った(快適なベッド・大量のコーラ・大甘のお菓子)まま、森の中を歩き出すのが、この作品の一番面白いところでしょうか。

また相棒も始終ドーナツを食べないと落ち着かないようなタイプの人で、辛らつな言葉を吐きながら、一緒に歩いていきます。


最初の一日目に、二人とも荷物の重さに驚き、次第に遅れ待ってもこない相棒を探しに行くと、腹を立てヒステリー状態で荷物の大半を捨てていました。キャンプ地に着くと夕食も取らずに就寝。


こんな感じで始まるのですが、それでもやめずに歩きつづけるんですね。

熊らしきものに脅かされ、不愉快な同行者と会い、宿があれば泊まってベッドを楽しみまずいミートパイを食べコーラを飲んで、なければスニッカーズを食べ、進んでいきます。


興味を持ったのが、筆者が熊を恐れて多くの友人に同行を求めるのですが、名乗りをあげたのがかつてのクラスメイト(卒業後25年間に4-5回あった程度)で、その二人でいくことになるのですね。うーん日本人なら間違いなく1人でいくような気がします。どうだろう。


それから自然の描写がとても少ない。もちらんあるにはあるのですが、日本人の旅行記と比べると景色よりもケーキやテレビドラマのほうが良く出てくる印象があります。


あと、途中でショートカットしたり、相棒がいたのは最初と最後で、途中は1人で歩いているんですね。「完踏」とかにはあまりこだわらない。


片足は都市文化につっこみながら、もう片足でタフにアバウトに歩きつづける、そんなところが「アメリカ人」というかんじなのでしょか。


個人的には、アメリカの山小屋のまずい食事やスニッカーズ漬けの食事はかんべんですが、「ロングトレイル」というのには、とても惹かれるものがありますね。



日本人の踏破の方はこちら で読めます。

加藤 則芳 さんの本は「ジョン・ミューアトレイルを行く 」も面白いですよ。


ジョン・ミューア・トレイルを行く―バックパッキング340キロ/加藤 則芳
¥2,310
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最後に。

この本のタイトルはひどいですね。

なんでA WALK in the WOODSが究極のアウトドア体験、になるんでしょう。

究極でもないし、アウトドア体験って、範囲広すぎ。

最近はこういったふざけたタイトルに惑わされずに本を選べるようになりましたが(こういうジャンルレスな本に多い)、編集者が悪いのか訳者が悪いのか。

でも、およそ「究極」からほど遠い内容だからこそ「究極」という文字が必要なのかもしれませんが、でもどうだろう。