白玉クリームあんみつと夏の月/思考のレッスン
思考のレッスン
丸谷才一
- 思考のレッスン/丸谷 才一
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作家でも有り文学者でもある丸谷才一と編集者の思考に関するインタビュー集。
レッスン1 思考の型の成型史
レッスン2 私の考え方を励ましてくれた三人
レッスン3 思考の準備
レッスン4 本を読むコツ
レッスン5 考えるコツ
レッスン6 書き方のコツ
という目次で、実際に役立ちそうなのはレッスン4あたりから。
レッスン4は「本はバラバラに読め」「インデックス・リーディング」「人物表、年表を作ろう」など
レッスン5は「『謎』を育てよう」「定説には遠慮するな」「考えることには詩がある」など
レッスン6は「文章は頭の中で完成させよう」「レトリックの大切さ」など
このあたり章が役に立ちそうでしたね。
「考えることには詩がある」などでは「人間がものを考えるときには、詩が付きまとう。ユーモア、アイロニー、軽み、あるいはさらに極端に言えば、滑稽感さえ付きまとう。そういう風情を見落としてしまったとき、人間の考え方は息ぐるしくなって、運動神経の楽しさを失い、ぎこちなくなるんですね。」といって、「人物表、年表」とかいっているロジカルな人がそんな反対な感情も持ち合わしているのが、なかなか面白かったです。
ただし、徹頭徹尾、文学についての話ですね。
ちょっとそのあたりが時代にそぐわない感じがしました。
丸谷才一のすごさが分かっていないだけだとは思いますが。
ただ、ちょっと自分と似たところがあるような気もしますので、他の本も読んでみたいと思います。
面白かったところを一つ。
「つまり昔の日本人ならば、『白玉クリームあんみつ』には比喩的に『夏の月』といった名前をつけたものでしょう。そういう風流な態度がごく当たり前のことだった。それが、『白玉・クリーム・あんみつ』というふうに、ただ中に入っているものの名前を羅列的に並べて書く。・・・これが現代日本文化なんだなあと思ってびっくりした・・・。」
どっちの気持ちもなんだかよく分かります。