旅する葦/ソングライン
ソングライン
ブルース・チャトウィン
- ソングライン (series on the move) (series on the move)/ブルース・チャトウィン
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ブルース・チャトウィンは『パタゴニア
』につづき2作目。
その特徴である、小さなエピソードを積み重ねて大きな物語にしていく手法は、『パタゴニア』では時間的・空間的寂寥感を表すのに成功し、さらに『ソングライン』では、核となる「人はなぜ旅をするのか」と言う問いと、アボリジニに伝わる土地の固有の歌を追っていくことで、より大きくしっかりとした物語になっています。
人はなぜ旅をするか。
自身の放浪癖から湧き上がる問いに、より根源的な答えを探すため、チャトウィンはアボリジニのソングラインの伝統を探ります。
ソングラインとは、アボリジニに古来から伝わってきた歌の地図ともいうべきものです。
採集民族として旅することが生活の一部であったアボリジニは、多数に分かれたそれぞれの種族・家族に自分たちの歌の地図があり、それにそってオーストラリア全土を旅し、そしてその道は所有するのではなく、共有しているのです。
それにしても、「ソングライン」を読んでいると、帰ってこれなくなる性質の旅にどっぷりと浸かっているような気になります。様々な歌を持ち、選ばれた人にのみ歌を継承してくアボリニジニ達との旅。オーストアラリアの奥地に住む、個性が生活を凌駕してしまった白人達。そんな人々から様々な話や生活を採取し、また自分が見て読んで話して集めた知識も収集していくチャトウィンの旅は、オリジナルでありながら臨場感たっぷりにオーストラリア奥地での生活を伝えてくれます。そして、その傾倒ぶり、省みない姿勢が、一つの地に安住しない圧倒的な放浪感を醸し出しています。
少し長いですが「パタゴニア 」よりも読みやすいですし、チャトウィンの本を読んでみたい方にはオススメです。
最後に解説を読んで気づいたのですが、この作品
フィクション
なんですね。
まぁ、過去にそんな類の本を読んだのでそれほど驚きませんでしたが、まぁ残念といえば残念。分かるといえば分かるという感じです。
それからチャトウィンといえばノートが有名ですよね。
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最初のページに「拾ってくれた方には__円差し上げます」と書いてあり、はじめは違和感が会ったのですが、チャトウィンの本を読んでいくと「採集」こそ彼の本領とするところで、ノートの重要性が分かりました。このノートを何十冊も持って旅して書いていたようです。
あ、それから今見たら『パタゴニア』ずいぶん中古の値段 が高くなっていますね。
そんなに古くもないのに。驚きました。