政治家は政治家、市民は市民/政治家やめます
政治家やめます。
小林照幸
- 政治家やめます。―ある自民党代議士の十年間/小林 照幸
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ひいきの作家小林照幸 の本でも読もうと思って物色。
政治の季節なので「政治家やめます」読んでみました。
タイトルどおり、衆議院議員を10年務め「向いていないからやめます」といって本当にやめた久野統一郎 の話です。
親が国会議員で、ある正月はじめて父と一緒に竹下登を地元名古屋に迎え、「君、やる気あるのか」と問われ思わず「どうぞ、よろしくお願いいたします」と口にしたのがきっかけで始まった2世議員生活。
「普通の人」の感覚で政治を良くする、とはいったものの政治家は普通の人の神経では務まらないようです。
誰彼なしに頭を下げ、自分に届く贈り物はすべて後援者に渡し、正月は後援者のために炊き出し。これらはもちろん選挙のため。
自分の政策も、自民党の方針が変わるたびに変わり、筋も何もない。
むすっとして選挙前に金を届ける影の小ボス小沢一郎に、一旦面倒を見るといったら必ず応援演説に来てくれる橋本龍太郎。
義理も人情もありながら、実弾も当然必要となる選挙は「普通の感覚」ではそう長くは続くないことが良く分かりました。
結局一市民が、なれるからといって国会議員になってはみたものの、やりたい政策もなく、かといって人一倍の欲もなく、ただいわれるがままに議員をやっているんじゃ、勤まるような職ではないようです。
議員になっていたのは1990-2000年、関係あった首相は竹下登から小渕恵三までと、政治的には面白い時期ですが、海千山千の兵に交じって「普通の人」には、面白いというより困難。
結局ネックになったのは、生来真面目で義理堅いのに、今までこき下ろしていた公明党と連立与党体制を組もうとする辺りで自分なりの納得ができずに限界がきたようです。
志もなく、欲もなく政治家をやった場合、純粋に選挙活動のためだけに政治をやるとどうなるか、というのが良く分かりました。
巻末の写真をみても加藤紘一 細くしてより小市民にした感じです。
こんな人なら、ずっと道路公団に勤めていたほうがよかったね、と思いました。
で、今回の選挙にこの教訓を生かすと
・単に「普通」を強調する人は信用しない
・政治家に必要な信念なり、タフさを兼ね備えて「普通」を強調するなら、投票する
・でもそんな人はなかなかいない
と、思った次第です。
さ、いよいよ明日は衆議院選挙です。
民主党圧勝との予測ですが、小沢一郎は「予算を3回は作りたい」といっているそうです。
リアルで頼もしい。細川政権の教訓が生きていますね。
結果も楽しみですが、その後のほうがもっと楽しみです。