いつもと違う幼馴染/血と暴力の国 | できれば本に埋もれて眠りたい

いつもと違う幼馴染/血と暴力の国

血と暴力の国

コーマック・マッカーシー


血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)/コーマック・マッカーシー
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たとえばすきなデザイナーのTシャツが無印で販売されたら何かしっくりこない。

私にとって「血と暴力の国」もそんな感じです。


あらすじは、


偶然マフィアの大金を盗むことのできた元ベトナム兵のモス。

大金を持って逃げ出しますが、シュガーという殺し屋が追いかけてきます。

サイコパスともいえるシュガーは、追っていく過程でバンバン人を殺していきます。

そして、災厄のように増える殺人事件に動揺するその地区の老保安官。

この三人を軸としたクライムノベルです。



あの「越境」を書いたマッカーシーのクライムノベルということで期待したのですが、なんでしょうこの微妙な的外れ感。



きっとマッカーシーの書きたいことをクライムノベルという枠にはめたらこうなった、ということなんだと思います。

書きたいこととは何か。それは「運命」ということでしょう。


ここでは運命の執行者はシュガーです。


 マフィアの金奪ったらどうなるかわかってるんだろうなぁ。

 おれに敵対したらどうなるかわかっているんだろうなぁ。

 俺と約束したら、きちんと守るぞこのやろう。


そんな運命をサイコパスは実行していくのです。

ただ、そのクライムぶりがいまいちで、シュガーのはじけっぷりをもっと書いてもらわないと、限りなく普通のクライムノベルに近づいてしまうので、その意図がわかりづらいかったですね。


幼馴染の良いところはしっているけど、そのカッコじゃ君のいいところは分かりづらいよ、というところでしょうか。


映画のほうがずいぶんいいようなので、そちらは期待して見たいですね。

しかし、映画にしても本にしても邦題が、なんというか。

難しいですね。

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