ばななについて少し/彼女について | できれば本に埋もれて眠りたい

ばななについて少し/彼女について

彼女について

よしもとばなな


彼女について/よしもと ばなな
¥1,250
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「私」と仲のいい、いとこの「昇一」。

幼い頃は仲が良かったのですが、母と叔母さんが絶縁してその後の付き合いはなくなりました。

母は、魔術にのめりこみ、ある事件をきっかけに私は1人で暮らすようになります。

叔母さんがなくなったのをきっかけに、昇一が私のところにやってきて、私の元気のない様子を見て、その原因を探すための、過去への旅にでます。



めずらしくミステリ調で、読み進むうちにだんだんと状況が分かってくる構成で、最後に驚きの事実が明かされます。オカルトに足を踏み込みながらその暗黒面の周辺を周っている感じで、いつもの人間関係だけのものよりも若干テイストが違うかも。ま、そうはいってもよしものばななであることは確かですが。

他の作品との区別も、ライスカレーとカレーライスとカレー丼の差みたいなものです。



そうはいっても、ついよしもとばななを読んでしまう理由の一つが、自分に見えてなくて、よしもとばななに見えているものがあり、本を読むとそれがひしひしと感じられ、見極めようとするも見極められない、そういう部分ですね。


でもなんですかね。


きっと大切にすべき「何か」を分かっていて、それを大切にしないとどうなるか、というのを細かく想像できる。

そういう部分が、よしもとばななの才能なのではないでしょうか。

すっかりよしもとばななにはまっている私は公平な書評はできないのですが、普通の読者はどう読むのでしょうか。ちょっと気になるところです。