亡命と物語と人/文盲 | できれば本に埋もれて眠りたい

亡命と物語と人/文盲

アゴタ・クリストフ

文盲


文盲 アゴタ・クリストフ自伝/アゴタ・クリストフ
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悪童日記 」のアゴタ・クリストフのエッセイだということで読んでみました。


相変わらずの装飾のない文章で、11篇の短いエッセイが書かれています。


亡命の様子も詳しく書かれていて、雪の中、数ヶ月の子供を抱えて国境を越えて、手配した違法業者に「後は街まで真っ直ぐ」と言われ別れたあと、森の中で道に迷ったことや、亡命した後、分からない言葉で子供のオムツやらミルクやらを確保しなくてはいけなかったことや、その後職や住む場所を国が手配してくれたことなどが分かりました。


その他、貧しかった幼少時代の思い出や、文字を読むのも書くのも好きだったことや、徐々に詩の投稿を始めたことなどが書かれていました。


量的には非常に少ないエッセイ集ですが、そっけない文章で恵まれない環境下でも物語を書かざるを得ないというのは、一部の人と物語の必然性を感じました。